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【監修付き】給与計算における住民税とは?住民税の控除方法や納付方法などプロが解説します

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<住民税の基礎知識>

 

私たちは、会社勤めであれば、月々の給与から源泉徴収の形で所得税を支払っています。また、日々の生活の中で消費税も支払っています。これらとは別に、住民税を支払っているのはなぜなのでしょうか。

 

  • 住民税とは

住民税(個人住民税)については、総務省のホームページで、次のように説明されています。

 私たちは日々の生活の中で、公共施設、上下水道、ごみ処理、学校教育といった行政サービスを多く受けており、その地域に住む住民が、各地域で必要となる費用を分担してもらうことが望ましいと考えられます。

 

個人住民税とは、このような行政サービスの活動費に充てる目的で、その地域に住む個人に課する地方税をいい、道府県民税と市町村民税があります。納税する際には、一括して各市町村に個人住民税を納めなければならず、道府県民税は各市町村によって、その道府県に払い込まれます。(都についても同様です。)

 

それぞれの地域において、地域住民の生活を保障するために、行政サービスの財源を適切に確保する観点から、個人住民税は極めて重要な税目となっています。

 

つまり、私たちが地域の行政サービスを受けるための財源が、住民税によってまかなわれているということになります。

 

  • 住民税と所得税の違い

一方で、所得税については、国税庁のホームページで、次のように説明されています。

所得税は、個人の所得に対してかかる税金であり、「1年間のすべての所得金額」から「所得控除額」を差し引いた残りの金額(課税所得金額)に税率を適用して税額を計算します。

 

さて、総務省や国税庁の公式説明では分かりにくいのですが、私たちにとって、住民税と所得税の最も大きな違いは、住民税は所得のあった年の翌年に徴収され、所得税は所得のあった年に徴収されるという点でしょう。たとえば、2023年の所得に対する住民税は、2024年の6月より分割で徴収されます。

 

住民税は後払いですから、前年の所得がなければ通常は課税されません。新卒1年目の新入社員について、住民税が徴収されないのは、この仕組みによるものです。反対に、会社を退職して所得がなくても、前年の所得が住民税の課税対象となるため、住民税を納付しなければなりません。

所得税は、月々の給与等からタイムリーに源泉徴収され、年末に過不足が調整される仕組みですから、住民税のような現象は起こりません。

 

  • 住民税はいつ決まる?

住民税の納付額は、市町村から届く通知書によって確定します。

 

・特別徴収

特別徴収は、企業が従業員に代わって毎月の給与から住民税を控除して納付する仕組みです。源泉徴収を行っていれば、特別徴収の対象となります。ですから、正社員の他、パートやアルバイトも特別徴収の対象となります。従業員は、1年分の住民税を12回分割で支払えるので安心ですし、従業員は自分で納付する手間が省けます。

 

これが可能なのは、毎年1月31日までに「給与支払報告書」を、会社から各市町村に提出しているからです。この内容に基づいて、各市町村が住民税額の計算を行い、その結果を企業に送付します。

 

毎年5月下旬、各市町村から「市民税・県民税特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」が送付され、従業員はこれを会社から受け取ることになります。

 

・普通徴収

普通徴収は、自分で住民税を納付する仕組みです。対象者は、個人事業主やフリーランスなど、給与所得でない人が原則となりますが、企業で働いていた人も、退職にあたっては普通徴収に切り替えることができます。

 

  • 住民税の納付方法

 

普通徴収の場合には、「住民税納税通知書(納付書)」が6月上旬に自宅に届きますから、これに従って、ご自分で納付することになります。普通徴収で4回払いを選んだ場合、6月、8月、10月、翌年1月の納入期限の前に、4回に分けて納付書を送る市町村もあります。

 

特別徴収の場合には、「市民税・県民税特別徴収税額の決定・変更通知書」に示された月々の金額が、毎月の給与から控除されて納付することになります。

 

  • 住民税の納付期限

 

普通徴収の場合には、自宅に送付された納付書に示された、各期の納付期限までに納付しなければなりません。

 

特別徴収の場合には、前年の所得に対する住民税を、毎年6月から翌年5月までの間、企業が従業員の給与から控除して、翌月10日までに各市町村に納付します。

 

  • 従業員が入社・退社する際の住民税について

 

・前年の所得がない新卒の新入社員の場合

 

住民税は、前年の所得に対して課税されますから、前年の所得がない新卒社員の場合には、当面の間、住民税の控除がありません。入社の翌年の6月に支給される給与から、住民税の控除が始まります。このとき手取りが減少して、驚く人もいますから、あらかじめ説明しておくと良いでしょう。

 

・中途採用の場合

 

転職により従業員が入ってきた場合、その従業員が住んでいる市町村に「給与支払報告特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出します。提出期限は、入社の翌月10日です。

 

前職の勤務先企業が発行した給与所得者異動届出書に必要事項を記入し提出すると、特別徴収を継続できます。また、普通徴収だった人について、特別徴収に切り替えたいときは、「特別徴収への切替申請書」を提出します。

 

・従業員が退社する際の住民税

 

1月1日から4月30日の間に退職する場合、企業は退職日から5月までの期間に納付期限が到来する住民税を一括徴収します。

 

5月1日から5月31日の間に退職する場合、5月に支払われる給与から住民税を控除します。

 

6月1日から12月31日の間に退職する場合、従業員が普通徴収か特別徴収かを選択します。ただし、特別徴収とすることができるのは、転職後の勤め先企業で引き続き特別徴収ができる場合に限られます。例外的に、退職する従業員から一括徴収の希望があれば、一括徴収することもできます。

 

<住民税の計算方法>

 

これまでの説明からも明らかなように、企業は給与計算にあたって、従業員の住民税を直接計算する必要はありません。また、市町村によって計算方法も異なります。ここでは、参考までに住民税の一般的な計算方法を見ておきましょう。

 

住民税には、所得に応じた負担を求める「所得割」と、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」があります。

 

所得割の税率は、所得に対して10%(道府県民税4%、市町村民税6%が基本)とされており、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます。

 

均等割は、住民税は「地域社会の会費」的なものであるとして負担を求める住民税の性格を反映したもので、その税額は5,000円(道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円)とされています。ただし、東日本大震災を踏まえ、都道府県や市町村が実施する防災費用を確保するため、平成26(2014)年度から令和5(2023)年度までの10年間、道府県民税・市町村民税ともに500円ずつ引き上げられています。

 

実際の課税では、これらの基準を踏まえ都道府県や市町村が自らの判断で税率を定め、納めるべき額を決定しています。

 

なお、道府県民税には、所得割・均等割のほかにも、一定の株式などによる利益についても課税の対象とするもの(利子割、配当割、株式等譲渡所得割)があります。

 

<住民税の所得控除>

 

住民税の所得控除は、所得税の計算で出てきた所得控除と同様に、所得金額から差し引くことができるもので、住民税には次に掲げる14種類の所得控除があります。

これは、住民税を納める方に、控除対象扶養親族が何人いるのか、病気や災害などによる出費があったかなど、個人的な事情も考えて税負担を求めるために設けられています。

 

種類 所得控除の内容
雑損控除 災害や犯罪による被害額
医療費控除 保険金などの補填額を除く医療費
社会保険料控除 健康保険料・年金保険料などの負担額
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済等掛金の額
生命保険料控除 生命保険料の金額
地震保険料控除 地震保険料の金額
障害者控除 障害をもつ配偶者や親族についての控除
寡婦控除 本人が寡婦の場合の控除
ひとり親控除 本人がひとり親の場合の控除
勤労学生控除 本人が学生の場合の控除
配偶者控除 所得が一定以下の配偶者についての控除
配偶者特別控除 配偶者控除の枠を超え一定以下の所得の配偶者についての控除
扶養控除 それぞれの扶養家族の所得に応じた控除
基礎控除 すべての住民税対象者に共通の控除

 

<住民税の計算時の注意点>

 

そもそも、住民税という税金は存在しません。これは、道府県民税と市町村民税の合計額を言っているにすぎません。また、東京都に限っては「都民税+特別区民税」となっています。

 

市町村民税だけを計算して、道府県民税を忘れる失敗もありますし、市町村のホームページにある「住民税シミュレーション」などを鵜呑みにする失敗もあります。

 

やはり各市町村から送付される「市民税・県民税特別徴収税額の決定・変更通知書(納税義務者用)」を確認するのが確実だということになります。

 

<Workcloudシステムなら>

 

住民税の計算を、各企業が独自に行う必要はないというのも事実です。しかしこれは、毎年1月31日までに各企業から各市町村に提出している「給与支払報告書」に、誤りが含まれていないということが前提となっています。ここにミスがあれば、それがそのまま住民税の誤りに反映されてしまいます。

 

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2023年9月22日

社会保険労務士 柳田 恵一

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